【コラム】企業型DCの現状を知る ―担当者の意識調査から見えてくる現状と課題

コラム
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NPO法人DC・iDeCo協会が2025年版の「企業型確定拠出年金(DC)担当者の意識調査」を公表しました。この調査は国内最大規模の回答数を誇り、企業型DCの現状を把握するうえで非常に貴重なデータとなっています。今回は、このレポートから見えてきた興味深いポイントをいくつかご紹介します。

基本的な用語の確認

まず、初めての人のために基本的な用語を説明しておきます。

  • 企業型DC:企業が従業員のために掛金を拠出し、従業員自身が運用方法を選択する年金制度
  • マッチング拠出:企業が拠出する掛金に加えて、従業員自身も掛金を上乗せできる仕組み
  • 選択制DC:給与の一部をDCの掛金として拠出するか、通常の給与として受け取るかを従業員が選択できる制度

マッチング拠出も選択制DCも、従業員が自分の判断で将来の年金資金を積み増しできる重要な仕組みです。

積み増し制度の普及状況

公表資料によると、2025年末時点の企業型DC実施企業は7,382社です。

アンケートに回答した企業のうちの63.3%が、加入者自身が積み増しできる制度である「マッチング拠出」や「選択制DC」を採用しています。多くの企業で従業員が自助努力で老後資金を準備できる環境が整いつつあることがわかります。

これらの制度を利用できる立場にある人は、税制優遇のメリットも大きいため、積極的に活用を検討されることをお勧めします。

運用商品の本数は適切か

運用商品の採用本数については、16~20本が最も多く、次いで21本~25本となっています。16本以上の商品を提供している企業が全体の65%を超えている状況です。

これは個人的にはやや多い印象を受けます。投資に興味がない人や知識が十分でない人にとって、これだけ多くの選択肢から選ぶのは負担が大きいでしょう。もう少し厳選して、本当に良質な商品に絞ってあげるべきではないかと感じます。

指定運用商品の設定状況に課題

加入者が運用商品を選択しなかった場合に自動的に購入される「指定運用商品」については、元本確保型が25%、ターゲットイヤー型が11%、バランス型が6%となっています。長期の資産形成という観点からは、低コストなバランス型やターゲットイヤー型商品をラインナップに加え、それを指定運用商品に設定するのが無難でしょう。

一方で、「設定していない」「設定する必要がない」「未認識」と回答している割合が合わせて40%もあることには驚かされます。指定運用商品の重要性を理解していない担当者が多いことは問題です。従業員の将来の年金資金に一定の責任を持つ立場として、より真剣に取り組んでいただきたいと思います。

運用商品の見直し状況

調査では、全体の26%が過去1年間で運用商品ラインナップの見直しを行っており、そのうち19%が商品の除外も実施しています。この数字は想定以上に高く、驚きました。多くの企業が、従業員のことを考えて商品本数を増やさない努力をしつつ、より良い商品をラインナップしようと努力していることがうかがえます。

追加商品は、先進国株式・ターゲットイヤー型・全世界株式型が多く、除外商品は、追加商品と同一カテゴリーによる入れ替えや、定期預金や保険商品が多くなっています。長期の資産形成という観点では、適切な対応が行われている印象です。

ただし、従業員数の多い企業ほど「除外対象者の把握が負担」という課題を抱えています。これは容易に想像がつきますが、だからといって商品の除外を躊躇すべきではありません。加入者にとってより良い運用環境を整えることが重要です。

加入者の皆さんへのメッセージ

企業型DCを利用できる人は一部の人かもしれませんが、利用できる人にとっては、将来の自分の年金となる非常に大切な資金の置き場です。

ぜひ興味を持って、自分自身で商品を選択してください。指定運用商品のままになっていると、長期間で大きな差となる可能性があります。今すぐ見直すことをお勧めします。長期の運用となり、60歳までは現金化できない制約がある以上、低コストで期待リターンが高い商品を選択するのが王道です。全世界株式型や先進国株式型のインデックスファンドを積極的に選択してもよいでしょう。 また、マッチング拠出や選択制DCなど、積み増しできる制度がある場合は、税制優遇のメリットも考慮し、積極的に利用を検討してみてはいかがでしょうか

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