【コラム】20歳になる前に必読!『学生納付特例』を知らないと、万が一の時に天と地ほどの差に

コラム
コラム

20歳になると国民年金保険料の納付義務が発生する

20歳の誕生日を迎えると、学生であっても国民年金への加入が義務付けられます。2026年度の国民年金保険料は月額17,920円。年間にすると21万円を超えます。

学費や生活費を支援している親御さんにとって、この月々17,920円という金額は決して小さな負担ではありませんよね。一方、本人がアルバイトで稼ぐにしても、学業との両立を考えれば、この支出は大きな負担となるでしょう。

そこで多くのご家庭で利用されているのが「学生納付特例制度」です。

学生納付特例制度は「猶予」であって「免除」ではない

学生納付特例制度は、学生の間、国民年金保険料の納付を猶予してもらえる制度です。ここでぜひ理解していただきたいのは、これはあくまでも「猶予」であり「免除」ではないという点です。つまり、「支払わなくてよい」わけではなく、卒業後など経済的に余裕ができたときに「後から納める(追納する)必要がある」ということです。

令和5年国民年金被保険者実態調査(2025年3月公表)によると、学生の保険料納付状況は次のようになっています。

約6割の学生が学生納付特例制度を活用しており、約3割が実際に納付しています。注目していただきたいのは、約7%の学生が何の手続きもせずに未納状態になっているという点です。この未納状態のまま放置することは、将来に取り返しのつかない影響を及ぼす可能性があります。

未納のまま障害を負ってしまったら—親も本人も知っておくべきこと

学生納付特例制度の申請を「面倒だから後で」と先延ばしにするのは、非常に危険です。なぜなら、20歳を過ぎて万が一障害を負ってしまった場合、障害年金を受け取れるかどうかに直結するからです。

年金制度には3つの柱があります。「老齢年金」「遺族年金」そして「障害年金」です。多くの人は老齢年金にばかり意識が向きがちですが、若い世代にとって最も重要なのは実は障害年金なのです。

学生納付特例申請の有無による決定的な違い

想像したくないことかもしれませんが、もしも20歳になった直後に事故や病気で障害を負ってしまった場合を考えてみてください。

ケース1:学生納付特例を申請していた場合

  • 障害基礎年金額:年額847,300円(障害等級2級の場合)
  • 仮に同額を40年間受給したとすると、総額約3,389万円(障害等級2級の場合)

ケース2:未納のまま放置していた場合

  • 障害基礎年金額:0円

より重度の障害の場合は障害基礎年金1級(年額1,059,125円)が支給され、40年間で総額約4,237万円となります。

この差は、本人の人生はもちろんですが、親御さんの人生も大きく変えてしまいます。障害を負った場合、医療費や介護費用、生活費の負担が増える中で、年金による経済的支援があるかないかは、家族全体の生活を左右する問題です。

保険料の納付要件を満たしていないと、障害年金を受け取ることができません。学生納付特例を申請しておけば、保険料を納めていなくても納付要件を満たしたことになり、万が一の時に障害年金を受給できるのです。申請書を出すか出さないか、それだけで、将来が大きく変わってしまうのです。

将来の老齢年金のために—追納の仕組みを理解しよう

学生納付特例制度を利用した期間は、年金の受給資格期間(10年)には算入されますが、年金額の計算には反映されません。つまり、追納しない限り、その期間分の年金額は「ゼロ」として扱われます。あくまでも免除ではなくて猶予だからです。

追納のルール

10年ルール 追納できるのは10年以内です。この期限を過ぎると、いくら経済的余裕ができても追納することはできません。

3年ルール(加算額) 3年以上前の保険料を追納する場合、当時の保険料に加算額が上乗せされます。

10年を過ぎてしまった場合の対応策

もしも10年の追納期限を過ぎてしまっても、老齢年金を満額に近づける方法はあります。

60歳以降の任意加入 60歳から65歳までの間、国民年金に任意加入することができます。この制度を利用すれば、学生納付特例期間の穴を埋めることが可能です。

厚生年金の経過的加算 60歳を過ぎても厚生年金に加入して働き続けることで、「経過的加算」という仕組みにより、実質的に国民年金の不足分が補填されたような効果が得られます。これは老齢厚生年金に上乗せされる形で支給されます。

親が保険料を支払うという選択肢もある

学生納付特例を利用せず、親御さんが保険料を支払うという選択肢もあります。この場合、税制上のメリットもあります。

親御さんがお子さんの国民年金保険料を支払った場合、その全額が親御さんの「社会保険料控除」として所得から差し引かれます。これにより、所得税や住民税が軽減されます。

例えば、年間の保険料215,040円(毎月納付の場合の金額)を支払い、親御さんの所得税率が20%、住民税率が10%の場合:

  • 所得税の軽減額:年間約43,000円
  • 住民税の軽減額:年間約21,500円
  • 合計:年間約64,500円の節税効果

「学生納付特例」と「親による保険料支払い」のどちらを選ぶかは、それぞれのご家庭の経済状況によります。親子でよく話し合って決めることをおすすめします。

追納率の現実—多くの人が追納していない

実は、学生納付特例を利用した学生のうち、10年以内に追納を行う割合はわずか8.9%という厳しいデータがあります(2024年時点)。つまり、9割以上の人が追納しないまま期限を迎えているのが現実です。

卒業後は生活に余裕がなく、さらに子育て費用など新たな支出が増えることで、追納まで手が回らないことが原因と考えられます。親子ともに、この現状をしっかり理解しておくことが大切ですね。

親御さんに知っておいていただきたいこと

学生のお子さんが20歳になったら、国民年金制度について親子で話し合う機会を持ってください。経済的に支払いが難しい場合、選択肢は主に2つです。

  1. 親が保険料を支払う:税制上のメリットもあり、お子さんの将来の年金額も確保できます
  2. 学生納付特例制度を利用する:当面の経済的負担を軽減できます。卒業後に追納する方法です
    (※その他に、条件を満たせば免除制度を利用できるケースもあります)

絶対にしてはいけないのが「未納のまま放置すること」です。万が一お子さんが障害を負った場合、障害年金を受け取れず、親子ともに人生が大きく変わってしまいます。

20歳の誕生日を迎えたら、必ず年金事務所や市区町村の窓口で手続きを行いましょう。学生納付特例の申請は毎年必要ですので、更新も忘れずに。お子さんが忘れてないか、親御さんから声をかけてあげてください。

人生は何が起こるかわかりません。若くて健康な今だからこそ、万が一に備える年金制度の重要性をお子さんと一緒に理解し、適切な手続きを行うことが、お子さんの将来を守ることにつながります。年金は「義務だから払う」ものではなく、「大切な我が子の将来のために備える」ものなのです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました